要点
- 1か月以上の滞在には、定期建物賃貸借契約(定期借家契約)を使うのが一般的です。1年未満の普通借家契約は期間の定めのない契約とみなされ、終わらせるのが難しくなります。
- 定期借家契約には、書面の契約書とは別の書面で、更新がなく期間満了で終了することを契約前に説明する必要があります。2022年5月から、どちらも電子化できます。
- 1か月未満の滞在は一般に賃貸ではなく宿泊として扱われ、民泊の届出か旅館業の許可が必要です。
- 敷金は未払い賃料と損傷の担保です。通常の使用による損耗は、民法と国土交通省のガイドラインにより貸主の負担です。
- 費用、光熱費、解約予告、違約金は2つの言語ではっきり書き、どちらの言語が優先するかも明記します。
一般的な情報であり、法律・税務上の助言ではありません。 ルールは都道府県・市区町村によって異なり、改正もあります。実際の手続きの前に、自治体の窓口や専門家(行政書士・税理士など)にご確認ください。 2026年10月更新.
普通借家か、定期借家か
住宅の賃貸借契約には、借地借家法上2つの種類があります。違いが特に大きく効くのは短期の滞在です。普通借家は住み続けたい借主を守るためのしくみで、マンスリーの運営に必要なものとは逆向きだからです。
| 普通借家 | 定期借家 | |
|---|---|---|
| 期間満了時 | 貸主に正当事由がなければ更新される(正当事由の立証は難しい) | 終了する。住み続けるには再契約が必要 |
| 1年未満の期間 | 期間の定めのない契約とみなされる | 期間の長さを問わず可能 |
| 契約の方式 | 定めなし(実務上は書面) | 書面または電磁的記録による契約と、別の書面による説明 |
| 賃料の改定 | 双方から増減を請求できる | 特約で改定の請求を排除できる |
| 借主の中途解約 | 契約の定めによる(1か月前の予告が多い) | 契約に定めがある場合のみ。ただし床面積200㎡未満の住宅で、転勤や療養などやむを得ない事情があるときは、1か月前の申入れで解約できる |
| 終了前の通知 | — | 期間1年以上の場合、満了の1年前から6か月前までに貸主が終了を通知 |
月単位で貸す家具付き物件では、定期借家契約が一般的な選択です。合意した日に終わり、期間中の賃料が固定され、もっと住みたい入居者とは再契約すればよいからです。
事前説明書面
定期借家契約が有効になるのは、契約を結ぶ前に、貸主が「更新がなく、期間満了で終了する」ことを記載した書面を交付して説明した場合だけです。最高裁は、この書面は契約書とは別の書面でなければならないと判断しています。契約書の一条項として書くだけでは足りません。
説明がなかったり不備があったりすると、更新しない旨の定めは効力を失い、普通借家契約として扱われます。このガイドで最も高くつく失敗であり、同時に最も防ぎやすい失敗です。
- 説明書面は独立した書類として、日本語に加えて入居者の言語でも用意する。
- 契約書を署名に回す前に、説明書面を交付して説明する。同じ封筒で一緒に送らない。
- 入居者の署名や受領の記録を、日付とともに残す。
2022年5月から契約書は電子化でき、説明書面も借主の承諾があれば電子的に交付できます。宅地建物取引業者が仲介する場合の重要事項説明は、これとは別の義務です。
1か月未満は「宿泊」
賃貸と宿泊の境目は、おおむね1か月です。家具付きの部屋を3週間貸すと、契約の名前にかかわらず一般に旅館業法上の宿泊にあたり、民泊の届出か旅館業の許可が必要です。1か月以上を、きちんとした賃貸借契約で貸すなら賃貸です。
だからこそ、ひとつの建物で両方を組み合わせられます。ある部屋は民泊や旅館業で短期のゲストに、別の部屋は定期借家でマンスリー入居者に。2種類の契約は混ぜずに管理し、日付も正直に扱いましょう。20泊で終わる「マンスリー契約」は宿泊です。短期滞在の側は民泊のガイドで解説しています。
敷金、諸費用、含まれるもの
マンスリーの入居者は、賃料ではなく総額で比べます。予約の前にすべての金額を示し、契約書でも同じ名称で記載しましょう。
| 項目 | 内容 | おすすめの運用 |
|---|---|---|
| 敷金 | 未払い賃料や損傷の担保。退去時に返還 | 金額と充当できる範囲を明記し、売上とは分けて管理する |
| 礼金 | 返還されない一時金 | 家具付きのマンスリーでは少数派。取る場合ははっきり示す |
| 契約手数料・短期契約費用 | 書類作成や準備の費用 | 見積・契約書・請求書で、同じ名称・同じ金額にする |
| 清掃費・原状回復費 | 退去時の清掃の定額費用 | 金額が明確で、説明していれば特約として有効 |
| 光熱費・インターネット | 家具付き物件では月額定額が多い | 含まれる範囲と、上限の有無を書く |
| 保証 | 保証会社、または個人の連帯保証人 | 個人の保証人の場合は、極度額の記載が必要 |
入居月と退去月の賃料は日割りにします。計算方法(その月の暦日数で割るのが一般的)を契約書に書き、最初の請求書で計算を示しましょう。
2020年の民法改正以降、個人による保証で極度額の定めがないものは無効になるため、多くの事業者は保証会社を利用しています。外国人入居者に強い保証会社もあります。
外国人入居者と2つの言語
マンスリーの入居者には、赴任や留学、住み替えの途中といった海外から来た方が多くいます。いくつかの習慣で、行き違いを減らせます。
- 在留カードまたは旅券を確認し、在留期間が契約期間をカバーしているかを見る。
- 契約書は日本語と英語(または入居者の言語)で用意し、内容が異なる場合にどちらが優先するかを明記する。通常は日本語です。
- 中長期在留者は、転入から14日以内に区役所で住所を届け出る必要がある。その部屋を住所として使えるかどうかを伝えておく。
- ゴミの分別、静かにすべき時間帯、来客の宿泊のルールは入居時に説明する。賃料よりも摩擦の原因になります。
- 連絡手段はLINE・WhatsApp・メールのいずれかに決め、スタッフ個人のスマホではなく予約にひも付けて残す。
18歳未満の入居者は未成年のため、契約には親権者などの法定代理人の同意が必要です。
オンラインでの署名
住宅の賃貸借契約は電子契約で結ぶことができ、2022年5月からは定期借家契約も含まれます。電子契約の強さは、後から何を示せるかで決まります。誰が、いつ署名し、その後に文書が変わっていないか、です。
- 署名者ごとに専用のリンクを送る。入居者、同居人、必要なら法定代理人。
- 署名済みのPDFに電子封印とタイムスタンプを付け、後からの変更がわかるようにする。
- リンクの送信・閲覧・署名の日時を、監査証跡として残す。
- 入居者がいつでもダウンロードできる控えを渡す。
解約予告、更新、中途解約
解約予告の期間、その数え方、早期退去の費用を書いておきましょう。ここが曖昧だと、トラブルの多くが始まります。
東京で家具付きの建物を多数運営してきた中で、実際に機能しているルールの一例です。
- 30日前の予告。退去日を含めて数える。 6月1日に6月30日の退去を申し出れば、ちょうど30日です。
- 予告が足りない場合は、足りない日数分だけを日割りで請求する。
- 期間満了前の退去は、残りの日数分を請求し、上限は賃料1か月分とする。
- 2つの費用は重ねて請求しない。大きいほうだけを適用する。
- 違約金は敷金から黙って差し引かず、別の請求として入居者の明細に載せる。
違約金には法律上の上限があります。消費者契約法により、解約に伴う違約金のうち、同種の解約で事業者に生じる平均的な損害を超える部分は無効です。「残りの期間の賃料すべて」よりも、「賃料1か月分まで」のような上限のほうがはるかに説明しやすくなります。
期間満了後も住み続けられるようにする場合は、どの契約にもとづいて住み続けるのかを決めて書面にしましょう。定期借家なら、延長のたびに新たな定期借家契約を結ぶのが最もすっきりします。
退去と敷金精算
敷金は、賃貸借が終了して部屋が返還されたときに、入居者の債務を差し引いて返還しなければなりません(民法622条の2)。部屋の状態について入居者が負担すべき範囲は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が目安になります。
| 負担する人 | 例 |
|---|---|
| 貸主(通常損耗・経年変化) | 日焼けによる壁紙の変色、家具の設置跡、ポスターの画鋲の穴、設備の経年劣化 |
| 入居者(通常の使用を超える損傷) | タバコの焦げや臭い、放置した汚れ、報告しなかった水漏れによる損傷、ネジ穴 |
入居者が負担する場合でも、経過年数が考慮されます。たとえば壁紙は約6年で価値が減っていくものとして扱われるため、6年使った壁紙を傷つけても、入居者の負担はほとんど、あるいはまったくありません。東京都では賃貸住宅紛争防止条例(東京ルール)により、宅地建物取引業者が契約前にこうした考え方を書面で説明することも求められています。
行き違いを防ぐのは、滞在の前後両方の記録です。
- 入居者が入居直後に記入する、写真付きの入居時チェックリスト。
- 退去後の室内確認を、そのチェックリストと照らし合わせる。
- 預かり敷金、控除項目ごとの理由と写真、返金額を記載した精算書。
- 入居者が確認・異議申立てできる期間を決め、その後に返金する。
OmniPMでは
OmniPMでの対応
OmniPMでは、マンスリー入居者を短期滞在と同じダッシュボードで、予約から敷金の返金まで管理できます。
オンラインで署名する契約書
日本語または英語の契約書に、氏名・日付・賃料・費用が予約から自動で入ります。入居者、同居人、必要に応じて法定代理人にそれぞれ専用のリンクを送り、入居者は署名済みの契約書をダウンロードできます。
自社の契約書テンプレート
エディタで作成するかWordから取り込み、条件に合うときだけ表示される条項を設定して、実際の予約でプレビューできます。電子封印とタイムスタンプ付きPDFによるOmniPM内での署名は、ワークスペースごとに有効化されます。
契約説明の面談
入居者は入居前に、スタッフの予約ページから契約説明の面談を予約できます。予定はチームのスケジュールに入ります。
自動で日割りされる賃料
入居月と退去月は日割りで計算。敷金は賃料管理で追跡し、預かり中の敷金は損益の売上に含めません。
ポータルからの退去届
入居者が退去日を選ぶと、送信前に違約金の有無と金額が表示され、最終月の賃料は日割りで計算されます。
計算の合う退去精算
室内確認の結果は入居時の写真と並べて請求項目に。入居時に報告済みの損傷はAIが指摘します。入居者は7日間異議を出すことができ、その後に確定します。